
こんにちは、海外駐在オヤジです。
私は現在、ある国で駐在員として働いています。
もう通算で10年ほど、海外で働いています。
海外で働く手段にはいくつかありますが、企業に勤める場合、駐在員と現地採用(ローカル採用)がよく比較されます。
海外駐在員は厚遇されていると言われますが、実際はどうなのでしょうか。
・・・はい、相当厚遇されています。
この記事では、現役の海外駐在員である筆者が、海外駐在員がなぜ厚遇されていると言われているのか、具体的にはどんな手当をどれぐらいもらっているのか、(身バレしない程度に)紹介します。
前提として、これは企業(業種)や駐在する国によってずいぶん変わってきます。あくまでも一つの例としてとらえてください。
駐在員がもらえる手当、補助などの一覧

まず、ざっと以下のような手当や補助がもらえます。
- 海外勤務手当
- 家族手当
- ハードシップ手当
- 住宅費(家賃、家具)
- 引っ越し時の費用
- 国内家具等の保管
- 語学教育費
- 子供の学校の入学金、授業料
- 医療費
- 出産費
- 専属のドライバー、社用車
- 一時帰国費用
ほぼ、会社の補助だけで生活できそうですよね。
加えて、給与支給や納税に関するいくつかのルールがあり、これにより収入が変わってきます。
もしかしたら聞き慣れない手当もあると思います。順番に紹介します。
給与
ベースの給与については、日本で支給されていたものがそのまま支給されます。
税金の考え方が大きく変わりますが、これは次の項目で説明します。
企業によっては、駐在国と日本との間の物価指数や為替差を鑑み、一定の係数を乗じて給与支給額を調整します。例えば物価の安い国に駐在すると、その分、給与支給額が減額されることがあります。
税金
日本を出て海外に移住する際、通常は役所に国外転出届を提出します。
いわゆる「住民票を抜く」というやつです。
そうすると、「非居住者」という扱いとなり、住民税の納税義務がなくなります。
所得税に関しては細かなルールがあります。
駐在先の海外子会社から給与支給する場合には、日本の所得税は払う必要はありません。駐在国で支給される給与に関しては、当然駐在国の所得税が課税されますが、これは納税処理を含めて会社が支払うケースが多いです。その代わり、それに相当する分を給与から天引きされる企業も多いです。
駐在であっても日本から給与が支給される場合(現地法人ではなく駐在員事務所のケースなど)や、給与支給が日本からと海外子会社からに分かれる場合(単身赴任など)は、日本から支給される分には日本の所得税がかかります。これは通常通り本人の給与から天引きされます。
いずれにせよ納める税金がぐっと減りますので、これまでと同じ給与額だとしても手取りが増えます。これは賞与支給分も同様です。
現金で直接もらえる手当
手当として現金でもらえるものには以下のようなものがあります。
海外勤務手当
駐在員には、一定金額の海外勤務手当が毎月支給されます。
この手当は会社さんによってまちまちなのですが、とりあえず一人あたりxx万円もらえるという企業もあれば、日本と違って残業代のコントロールが難しいため残業代相当を予め支給する、と定義している企業もあります。
家族手当
帯同家族に対して、或いは単身赴任の場合には日本に残してきた家族に対して、一定の手当が支給されます。
ちなみに、家族を帯同する場合、原則として配偶者は現地国で仕事ができませんので、仮に日本での仕事を辞めて一緒に海外に来た場合には家族手当はその代わりのようなとらえ方もできます。
(VISAや労働許可証の関係で、企業は駐在員の配偶者が現地で就業することを原則想定していません)
ハードシップ手当
これは聞き慣れない方もいるかもしれません。
ハードシップ手当とは、海外赴任の際に起こりうる不安や負担を軽減するために支給される手当のことです。
どこの企業も国ごとに定義され、毎月一定額が支給されます。一般的に、治安の悪い国、生活の利便性が低い国ほど、ハードシップ手当が多く貰えます。また逆に、ハードシップ手当がゼロの国もあります。
よく聞くのは、インドのハードシップ。月給並みの手当を毎月もらっている駐在員もいます。
補助としてもらえる手当
現物支給、或いは実費支給、実費に対する一定額が補助される手当には次のようなものがあります。
住宅費(家賃、家具)
駐在員の住む住居の家賃は、原則会社から支給されます。家賃上限に規定がある会社も多いですが、よほど贅沢をしない限りは、規定内で十分借りられます。
一般的に、駐在員の住む家は豪華です。東南アジアであればマンションやコンドミニアムにプールやフィットネスジムが付いていることはごく一般的ですし、アメリカでは立派な庭付きの一戸建てが借りられます。
また、通常は家具付きの家を借りることが多いですが、家具が無い場合には家具を揃えるコストも補助として支給される企業も多いです。
引越し時の費用
駐在国に移動する際の引っ越し代はすべて会社が負担します。駐在国への荷物は、航空便と船便に分けて搬送されます。航空便は委託できる荷物量や大きさに制限があるため、急ぎでないものは船便で送ることになります。
国内家具等の保管
電化製品や家具などは、日本に置いておくことになります。
この時、自宅を空き家のままにしておくのではなく、駐在期間中他人に貸し出すケースがあります。そうなると電化製品や家具を置いておけませんので、その時は大型のトランクルームを借りて駐在期間中荷物をそこに保管しておきます。この保管代も会社から支給されることが多いです。
語学教育費
駐在開始前、或いは駐在後に、語学学校に通うケースがあります。その場合の語学スクール費用は会社から支給されます。全額ではなく一部のケースが多いと思います。
子供の学校の入学金、授業料
子供を連れて駐在国に行く場合は、子供の就学のために入学金、授業料は会社から一定の補助が出ます。通常は全額ではなく、日本で就学した際に係る費用分を除いた額が支給されることが一般的です。
なお、駐在先に日本人学校があれば良いですが、そうでない場合は現地校、もしくはインターナショナル・スクールに通わせることになります。いずれのケースも授業料がかなり高額になるケースがあり、企業によっては自己負担額が多くて大変なことになる場合もあります。
医療費
現地で係る医療費は、原則、加入する海外医療保険でまかなわれます。これは駐在員本人だけでなく、帯同家族も同様です。
保険料は内容と駐在国によりますが、だいたい一人あたり年間50万円前後の保険料が支払われています。もっとも、海外では保険が無い場合、風邪の診察でも1回1万円取られたり、ちょっとした手術でも100万円かかったりします。相当高額になりますので、それが全額カバーできる保険であれば高い保険料も納得できます。
なお、海外医療保険の適用対象外となるケースがあり(例えば、持病については対象外とか、そうでなくても半年で支給が打ち切られるとか)、その取り扱いは保険会社さんにより異なります。
出産費用
通常分娩は医療行為とみなされませんので日本でも保険の適用対象外となりますが、海外も同様です。但し、それらも含めて会社から支給されるケースが多いです。
海外の出産の場合、1泊程度で退院させられたりと日本とはずいぶん事情が異なります。いずれにせよ費用は相当高額になりますので、その分も補助されるのは大変助かると思います。
余談ですが、海外駐在に来たおかげで子供がもうひとり増えたという駐在員、よく聞きます。とても多いです。
専属の運転手、社用車
国によりますが、駐在員には専属の運転手と社用車が付くケースが多いです。
日本の場合は役員でないと社用車なんて付かないでしょうから、相当厚遇されています。通勤だけでなく、飲みに行くのも、週末のゴルフも、運転手付きです。
会社によっては家族にも貸与されるケースがあります。(ファミリカーと呼ばれる)
流石に最近では1家に1台ではなく、複数の駐在員家族でシェアするケースも多いですが、それでも買い物や駐在員妻のお出かけに車が使えるのはぜいたくなことです。
自家用車購入費用
これはアメリカ駐在のケースですが、本人や家族用の自家用車の購入のための補助や貸付の仕組みがあります。たいていは赴任後に現地で購入しますが、その時に会社から補助がでます。
アメリカはNYなどの一部大都市を除き、自動車を必要とします。東南アジア等と違い運転手が付かず、自分で運転するケースがほとんどですが、子供の学校の送り迎えなどにも使用するため、本人だけでなく奥様も運転する(せざるを得ない)ことが多いです。
なお、カンパニーカーと言って、会社で自動車を購入し駐在員に貸与することもできますが、あまりやりたがりません。なぜかというと、会社から貸与された自動車を私用で使う場合、所得のように取り扱われ、個人の所得税として課税されるのです。私用分は走行距離ベースで申告しますが、これがとても面倒なので、当社の駐在員たちは全員自分たちで自動車を購入しています。
一時帰国費用
駐在員やその家族には、1年に1回程度、日本に一時帰国する権利が与えられます。これにかかる航空券代や滞在費など、会社から支給されます。
単身赴任の場合には、本人が日本に帰国する費用だけでなく、1~2年に1回程度、家族を駐在国に遊びに来させる制度があったりします。
なお、インドなどの駐在ハード国は、これとは別に、2~3ヶ月に一度の「買い出し費用」を認めている会社もあります。これは、インドから最寄りのシンガポールやタイに週末等を利用して渡航し、日用品や日本食(レトルト食品など)を買い出しに行く手当です。日本のものすら手に入りにくい国ですので、福利厚生を兼ねてそういった制度を作り、駐在員のメンタルケアをしているということです。
人によって得られる恩恵
これは全員でなく人によるのですが、以下のような恩恵が受けられる場合もあります。
家賃収入
日本の持ち家を貸し出している人は、家賃収入が入ります。
通常は管理のために専門の転貸会社を経由して賃貸に出します。家賃収入の振込時に約20%の所得税が源泉徴収されますが、これは確定申告することで全額返ってきます。また固定資産税も確定申告で戻ってきます。
まだ住宅ローンが残っていたとしても、うまく貸し出せれば、年間数十万円程度の家賃収入にはなります。
投資による収入
駐在国によっては、投資による利益や配当収入、いわゆるキャピタルゲインについては無税、或いは税率がとても低いケースがあります。例えばシンガポールやタイでは、キャピタルゲインは非課税となっています。
このような制度を活用し、駐在国で投資をしている方は非常に多いです。株や投資信託、或いはFXや、最近だと仮想通貨に投資をしているという方もよく聞きます。
駐在員の収入 まとめ
以上が、一般的な駐在員の収入になります。
滞在国、役職や現在の給与レベル等、お勤めの会社の規定よって違いますので一概には言えませんが、少なくとも20~30万円程度は毎月手当としてもらっているのではないでしょうか。
補助、現物支給としてもらっている家賃や社用車なども金額換算すると、月100万円を超えているかもしれません。
私ですか?
家は約300㎡、トイレとシャワーは5箇所。ジムとプールがあり、専属のドライバーさんも付いています。
※なお、仕事は激務です。